建設現場のDX化やインフラ投資が進むなか、シーティーエス(4345)は建設ICT分野に強みを持つ企業です。
測量機器のレンタル事業を軸に着実に成長を続けており、安定した配当と堅実な財務基盤から、長期保有にも向く注目銘柄といえます。
補足:ICT(情報通信技術)とは?
情報をやりとりしたり活用したりするための技術の総称です。
シーティーエスのような会社が行っている「建設ICT」は、以下のような場面で活用されています。
- 遠隔地からの施工チェックや安全管理
- ドローンで上空から測量→自動で3D地形データを作成
- タブレットで現場の進捗をリアルタイム管理
- 機械の動きをGPSで記録して、作業効率を見える化
- クラウド経由で現場資料や図面をスムーズに共有
この記事では、シーティーエスの企業概要・配当・業績・財務・将来性をわかりやすく整理し、投資判断の参考になる情報をお届けします。
シーティーエス(4345)ってどんな会社?
【上場市場】 | 【業種分類】 |
---|---|
プライム市場 | サービス業 |
株式会社シーティーエスは、建設現場向けにICT(情報通信技術)を活用したソリューションを提供する企業です。主な事業は以下の2つに大別されます。
- DDS事業(デジタルデータサービス事業)
工事の効率化・安全管理を支援するサービス。
工事の進捗管理や安全対策を効率化するICT機器やクラウドソフトを提供。国土交通省が推進する「i-Construction」にも対応しており、現場のデジタル化を強力にサポートしています。 - SMS事業(測量機器レンタル事業)
測量機器のレンタル・保守サービス。
測量・計測機器のレンタルおよび保守サービスを展開。専任のサポート体制や幅広い機種ラインナップにより、高いリピート率を誇ります。
建設業界では人手不足や現場の高齢化が課題となるなか、ICTや自動化技術への需要は拡大を続けており、同社はその中心的な役割を担っています。
さらに、クラウドサービスやデータ連携ツールの導入にも積極的で、単なるレンタル業を超えて現場のDX推進をトータルに支援しています。
こうした特徴から、シーティーエスは「建設×ICT」の成長分野で今後の将来性も期待される安定配当株です。
会社名 | 株式会社シーティーエス |
本社所在地 | 長野県上田市古里115番地 |
代表者 | 代表取締役社長 横島 泰蔵 |
設立 | 1972年4月11日 |
上場日 | 2002年3月 |
資本金 | 3,000百万円(2024年3月31日現在) |
事業内容 | DDS事業(ICTソリューション) SMS事業(測量機器レンタル・販売) SH事業(ユニットハウスレンタル) 環境安全事業(標識・公園施設など) |
決算期 | 3月末日 |
定時株主総会 | 毎年6月開催 |
配当はいつ?権利確定月
【配当回数】 | 【権利確定月】 | 【配当支払月】 |
2回/年 | 9月・3月 | 12月・6月 |
2026年3月期の1株当たりの年間配当予想は年間28円です。同社は2013年3月期から継続して増配を続けており、安定配当を実現している点が特徴です。
2025年8月時点の株価(900円台)を基準に試算すると、配当利回りは約3%前後となります。もし利回り3.5%に換算した場合、目安となる株価はおよそ800円台です。
業績・財務

売上高とEPS
シーティーエスの過去数年間の業績推移を、売上高とEPS(1株あたり利益)のグラフでまとめました。売上は右肩上がりで推移し、EPSも着実に伸びており、安定成長が続いていることがわかります。

売上高は堅調に拡大し、EPSも安定的に成長しています。直近の会社予想でも増収増益が見込まれており、成長基調が継続していることが確認できます。
営業利益率と営業利益率
シーティーエスの営業利益と営業利益率の推移をグラフにまとめました。
営業利益率は売上に対してどれだけ本業で利益を出せているかを示す指標で、企業の収益力を測るうえで重要なポイントです。

営業利益は右肩上がりに増加し、営業利益率も20%台から30%台へと改善が進みました。2026年の会社予想でも高水準を維持しており、建設業界の一般的な水準(5〜10%前後)を大きく上回る収益性が際立ちます。
自己資本比率と有利子負債比率
財務体質の健全性を確認するため、「自己資本比率」と「有利子負債比率」の推移をまとめました。
一般的に、自己資本比率が40%以上、有利子負債比率が100%未満であれば、財務体質は健全とされます。(※業種によって差はあります)
【年度】 | 【自己資本比率】 | 【有利子負債比率】 |
---|---|---|
2016/03 | 40.5% | 30.55% |
2017/03 | 41.9% | 27.62% |
2018/03 | 56.7% | 14.37% |
2019/03 | 59.1% | 14.05% |
2020/03 | 66.9% | 0 |
2021/03 | 67.0% | - |
2022/03 | 67.8% | - |
2023/03 | 71.8% | - |
2024/03 | 73.2% | - |
2025/03 | 75.4% | - |
自己資本比率は年々上昇し、2025年3月期には75%を超える水準となっています。さらに有利子負債比率は2020年以降ゼロとなっており、実質的に無借金経営を続けていることも大きな特徴です。 財務基盤の強さから、安定した配当継続にも安心感があります。
営業活動によるCF(キャッシュフロー)
営業活動によるCFとは、会社の本業で得た現金の増減を示す指標です。
売上から経費や仕入れなどを差し引いたあと、実際に手元に残ったお金がどれくらいあるかを表すため、企業の安定性や持続力を判断するうえで重要なポイントになります。

営業活動によるCFは近年20億円台を中心に安定して推移しており、安定的にキャッシュを生み出す体質がうかがえます。一般的に営業CFが黒字であれば健全とされるため、その点でも安心感があります。
現金等
現金等とは、企業が保有する現金や、すぐに現金化できる資産(預金・短期保有の有価証券など)を指します。
手元資金が多いほど、急な出費や景気変動にも柔軟に対応でき、財務の安全性を測る重要な指標です。

現金等は年度ごとに多少の増減があります。2025年3月期には一時的に減少しましたが、主に投資活動などによる要因とみられ、健全性に問題はありません。安定した資金基盤は引き続き維持されています。
1株当たり配当金と配当性向
配当金と配当性向の推移を表にまとめました。
1株当たり配当金:実際に受け取れる1株ごとの配当額。
配当性向:企業が稼いだ利益のうち、どれくらいを株主への配当に回しているかを示す割合。
配当性向の目安として、30〜50%程度が一般的とされます。
【年度】 | 【1株配当】 | 【配当性向】 |
---|---|---|
2017/03 | 6円 | 30.1 |
2018/03 | 9円 | 36 |
2019/03 | 11円 | 44.7 |
2020/03 | 12.2円 | 41.7 |
2021/03 | 14円 | 41 |
2022/03 | 18円 | 44.1 |
2023/03 | 22円 | 53 |
2024/03 | 22.5円 | 51.3 |
2025/03 | 25円 | 47.7 |
2026/03 | 28円 | - |
シーティーエスは毎期着実に増配を続けており、直近の配当性向も40〜50%台と安心できる水準です。利益の成長とバランスを取りながら、安定した株主還元を続けている点が魅力です。
さらに、シーティーエスは「自己資本比率に応じて配当の割合を調整する独自の仕組み」を設けています。自己資本がしっかりしているほど配当も手厚くなる仕組みで、無理のない範囲で長く安定した株主還元を続けられるよう工夫されています。
参考資料:公式IR 株主還元
まとめ

シーティーエスは、安定した売上成長と高水準の利益率を背景に、強固な財務基盤と堅実なキャッシュフローを築いています。自己資本比率は75%超と高く、有利子負債も実質ゼロで、健全性の高さが際立ちます。
さらに、株主還元についても毎期着実に増配を続けており、財務状況に応じて無理のない範囲で配当を決める仕組みを設けており、長期的に安定した株主還元を実現できる体制を整えています。
こうした点から、シーティーエスは「安定した成長と株主還元のバランスを兼ね備えた企業」として、安心して長期的な投資先として検討できる魅力があるといえるでしょう。