立川ブラインド工業(7989)は、窓まわりのブラインドや間仕切りを中心にインテリア製品を手がける老舗メーカーです。
公共施設やオフィス、住宅など幅広い空間で採用されており、創業80年以上の歴史を持つ安定企業として知られています。
堅実な経営と安定した財務基盤に加え、配当金と株主優待の両方を受けられるのも魅力のひとつです。
本記事では、立川ブラインドの事業内容から配当や株主優待、そして業績や財務まで、投資家目線でわかりやすく解説していきます。
立川ブラインド工業ってどんな会社?
【上場市場】 | 【業種分類】 |
---|---|
プライム市場 | 金属製品 |
立川ブラインド工業株式会社は、1938年に創業、1947年に株式会社化された老舗のインテリア製品メーカーです。窓まわりのブラインドや間仕切りを中心に製造・販売を行っています。
ブラインド業界で国内トップクラスのシェアを持ち、窓まわり製品に強みを持つのが立川ブラインドの特徴です。
- ブラインドの製造・販売・設計施工
- 間仕切りの製造・販売・設計施工
- カーテンレールやその他建築材料の製造・販売・設計施工
- 輸出入販売
- 二段式駐車場装置の販売・設計施工
主力の横型・縦型ブラインドに加え、ロールスクリーンやアコーディオンカーテン、パネルスクリーンなど多彩な製品を展開。さらに建築資材や立体駐車場装置まで手がけ、国内外で幅広く事業を展開しています。
- オーダーメイド対応で高い顧客満足度
- カラーバリエーション豊富でインテリアに馴染む
- 短納期対応と自社工場による品質管理
- 学校・病院・美術館など多くの施設で実績あり
「見えないところで支えるインテリアのプロ」そんな立川ブラインドは、地味だけど確かな強みを持つ企業なので、投資先としても注目できる存在です。
会社名 | 立川ブラインド工業株式会社 TACHIKAWA CORPORATION |
本社所在地 | 〒108-8334 東京都港区三田3丁目1番12号 |
代表者 | 代表取締役社長 池崎 久也 |
創業 | 1938年(昭和13年)5月30日 |
設立 | 1947年(昭和22年)10月22日 (株式会社に改組) |
上場日 | 1982年6月16日 |
資本金 | 44億7,500万円(2024年12月31日現在) |
事業内容 | 各種ブラインド、間仕切り、カーテンレール 室内外装品、建築材料の製造販売、設計施工 関連製品の輸出入、機械式駐車場装置の販売 設計施工およびそれらに附帯する業務 |
決算期 | 12月31日 |
定時株主総会 | 毎年3月開催 |
配当はいつ?権利確定月と支払月
【配当回数】 | 【権利確定月】 | 【配当支払月】 |
---|---|---|
2回/年 | 6月・12月 | 9月・3月 |
2025年12月期の1株当たりの年間配当予想は65円です。
株価1,790円台(2025年8月時点)を基準にすると、配当利回りはおよそ3.5%前後となります。
なお、利回り4%を基準にした場合の株価目安はおよそ1,600円台となります。
配当や利回りは業績や会社方針、株価によって変動するため、実際の投資判断は必ず最新のIR情報をご確認ください。
IR情報トップページ(決算短信・財務情報など)
株主配当情報(配当の最新情報はこちら)
株主優待の内容・条件・贈呈時期
立川ブラインド工業の株主優待は「QUOカード」です。株数や保有年数に応じて内容が変わり、長期保有するほど金額が増える仕組みになっています。
【保有株式数】 | 【保有期間3年未満】 | 【保有期間3年以上】 |
---|---|---|
100株以上300株未満 | 500円分 | 1,000円分 |
300株以上500株未満 | 1,500円分 | 2,000円分 |
500株以上1,000株未満 | 3,000円分 | 4,000円分 |
1,000株以上 | 4,000円分 | 5,000円分 |
📌権利確定日:毎年12月31日(翌年3月、事業報告書に同封して送付)
長期保有の株主にメリットがある優待制度のため、配当とあわせて長期投資に向いている内容です。
同じくQUOカード株主優待を実施している銘柄としては大日本塗料(4611)もあります。
業績・財務

業績や財務の健全性は、配当や株主優待を継続できるかを判断するうえで欠かせません。立川ブラインド工業の売上や利益の推移、自己資本比率やキャッシュフローなどを確認し、投資先としての安定性を見ていきましょう。
売上高とEPS
立川ブラインドの過去数年の業績推移を、売上高とEPS(1株あたり利益)のグラフでまとめました。売上の安定性やEPSの動きを確認することで、収益基盤の強さが見えてきます。

売上高は横ばいが続いており成長性は限定的ですが、EPSは直近で回復してきており、収益基盤の持ち直しが見られます。
営業利益と営業利益率
営業利益と営業利益率の推移もグラフにまとめました。
営業利益率は、売上に対してどれだけ本業で利益を出せているかを示す指標です。企業の“稼ぐ力”を見るうえで、ぜひチェックしておきたいポイントのひとつです。

営業利益は2019〜2021年にかけて高水準となった後、2022年に一時落ち込みましたが、その後は回復し直近では40億円前後を維持しています。
営業利益率も10%前後と製造業平均(約5%)のおよそ2倍にあり、安定した収益力の高さがうかがえます。
自己資本比率と有利子負債比率
財務体質の健全性を確認するため、自己資本比率の推移をまとめました。立川ブラインド工業には借入金や社債といった有利子負債はなく、実質的に無借金経営を続けています。
一般的に、自己資本比率が40%以上あれば財務体質は健全とされます。(※業種によって差はあります)
【年度】 | 【自己資本比率】 |
---|---|
2015/12 | 63.1% |
2016/12 | 63.6% |
2017/12 | 65.5% |
2018/12 | 66.5% |
2019/12 | 67.0% |
2020/12 | 69.2% |
2021/12 | 70.1% |
2022/02 | 70.1% |
2023/12 | 72.9% |
2024/12 | 83.0% |
自己資本比率も年々上昇し、2024年12月期には83.0%と高水準に到達しました。財務基盤は極めて健全といえます。
営業活動によるCF(キャッシュフロー)
営業活動によるCFとは、会社の本業で得た現金の増減を示す指標です。
売上から経費や仕入れなどを差し引いたあと、実際に手元に残ったお金がどれくらいあるかを表すため、企業の安定性や持続力を判断するうえで重要なポイントになります。

営業キャッシュフローは安定してプラスを維持しており、2020年には大きく伸びる場面もありました。直近でもしっかりとプラスを確保しており、本業で安定してお金を生み出せている点は安心材料です。
現金等
現金等とは、企業が保有する現金や、すぐに現金化できる資産(預金・短期保有の有価証券など)を指します。
手元資金が多いほど、急な出費や景気変動にも柔軟に対応でき、財務の安全性を測る重要な指標です。

現金等は2020年にかけて大きく積み上がった後やや減少していますが、直近でも150億円前後と高水準を維持しています。研究開発や設備投資に活用されていると見られ、前向きな資金の使い方と言えそうです。
1株当たり配当金と配当性向
配当金と配当性向の推移を表にまとめました。
1株当たり配当金:実際に受け取れる1株ごとの配当額。
配当性向:企業が稼いだ利益のうち、どれくらいを株主への配当に回しているかを示す割合。
配当性向の目安として、30〜50%程度が一般的とされます。
【年度】 | 【1株配当】 | 【配当性向】 |
---|---|---|
2016/12 | 15円 | 16.8% |
2017/12 | 15円 | 12.8% |
2018/12 | 23円 | 19.3% |
2019/12 | 28円 | 19.7% |
2020/12 | 29円 | 19.5% |
2021/12 | 30円 | 20.4% |
2022/12 | 31円 | 23.9% |
2023/12 | 36円 | 25.1% |
2024/12 | 46円 | 31.0% |
2025/12予 | 65円 | - |
配当は減配なく着実に増配が続いており、安定感があります。また、配当性向を見てもまだ余裕があり、今後の株主還元余地も感じられます。
まとめ

立川ブラインド工業(7989)は、ブラインドや間仕切りなどの空間づくりに強みを持つ老舗メーカーです。長年にわたり安定した経営を続けており、投資家にとって安心感のある銘柄といえます。
業績面では売上高・EPSともに大きな伸びはないものの、営業利益率や自己資本比率の高さから財務の安定性は際立っています。営業キャッシュフローも継続してプラスを維持しており、本業の稼ぐ力がしっかりと感じられます。
株主還元についても積極的で、減配のない安定配当に加え、QUOカードの株主優待を実施。さらに累進配当方針や総還元性向50%以上を目指す姿勢から、今後の株主還元強化にも期待が持てます。
派手さはないものの、「堅実経営・安定配当・株主優待」の三拍子がそろった立川ブラインドは、長期保有やインカムゲイン重視の投資家に適した銘柄といえるでしょう。
-参考資料(公式IR)-
・IR情報トップページ(決算短信・財務情報など)
・配当情報(最新の配当状況はこちら)
・株主優待情報(QUOカード優待の詳細はこちら)
・中期経営計画(2023~2025年度)