旭情報サービス(9799)は、企業や官公庁向けにITシステムの開発・運用・保守を手がける独立系の情報サービス企業です。
ここ数年は売上・利益が安定的に推移し、保守・運用領域の積み上げが土台となる堅実なビジネスモデルが特徴。借入依存の小さい健全な財務も安心材料です。
株主還元は安定配当の継続と、1,000株以上を対象とした株主優待制度の2本柱です。
本記事では、同社の業績・財務を軸に、配当・優待の基本情報まで整理し、投資判断の前に押さえておきたいポイントをやさしく解説します。
旭情報サービスってどんな会社?
旭情報サービス(9799)は、企業や官公庁向けにITインフラの構築からシステム開発・運用までを一括で手がける独立系SIer(システムを作って運用する会社)です。ここでは、同社の会社概要や事業内容を整理していきます。
【上場市場】 | 【業種分類】 |
スタンダード市場 | 情報・通信 |
🧩ネットワークサービス:業務を支える基盤づくりを担うサービス
企業内のITインフラの構築・運用・管理をはじめ、システム導入や各種ソフトのインストールまで幅広く対応。
🧩システム開発:業務を支える基盤づくりを担うサービス
業種や分野を問わず、汎用系からオープンネット系まで企画・設計・開発を実施。
🧩システム運用:長期的に安心して利用できる運用体制
ホストコンピュータの維持管理を365日24時間体制で行い、システムの安定稼働を支援。
このように、旭情報サービスはITインフラの構築からシステム開発、運用までを一括してサポートする体制を整えており、企業のITパートナーとして信頼されています。また、独立系SIerとして長期的に安定した事業基盤を築いている点も大きな特徴です。
会社名 | 旭情報サービス株式会社 ASAHI INTELLIGENCE SERVICE CO., LTD. |
住所 | 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー11F |
代表者 | 濵田 広徳 |
設立 | 1962年8月7日 |
上場日 | 1995年4月14日 |
資本金 | 7億3,336万円(2025年5月22日現在) |
事業内容 | ・ネットワークサービス・システム開発 ・システム運用・OA事務支援、ヘルプデスク |
決算期 | 3月末日 |
定時株主総会 | 毎年6月下旬頃 |
配当はいつ?権利確定月と支払月
【配当回数】 | 【権利確定月】 | 【配当支払月】 |
2回/年 | 9月・3月 | 11月・6月 |
旭情報サービスの配当は年2回(9月・3月が権利確定月、11月・6月が支払月)です。
2026年3月期は、1株あたり年間32円の配当予想が会社計画として公表されています。
株価1,030円台(2025年8月時点)を基準にすると、配当利回りはおよそ3.0%前後となります。
なお、利回り3.5%を基準にした場合の株価目安はおよそ910円台となります。
ただし、配当は業績や会社方針によって変動する可能性があるため、実際の投資判断は必ず最新のIR情報をご確認ください。
株主優待の内容・条件・贈呈時期
旭情報サービスの株主優待は、1,000株以上の保有で受け取ることができます。権利確定日は毎年3月31日です。
保有株数 | 優待内容 |
---|---|
1,000株以上~2,000株未満 | カタログギフト「e-book」3,000円相当 または 日本赤十字社への寄付 |
2,000株以上~3,000株未満 | カタログギフト「e-book」7,000円相当 または 日本赤十字社への寄付 |
3,000株以上 | カタログギフト「e-book」10,000円相当 または 日本赤十字社への寄付 |
カタログギフト「e-book」は、専用のWebサイトから好きな商品を選べる形式です。優待案内は毎年5月中旬から下旬にかけて発送されます。
また、優待品の代わりに日本赤十字社への寄付を選択することも可能です。
詳細は最新のIR(株主優待情報)でご確認ください
業績・財務

旭情報サービスの業績は、ここ数年にわたり売上や利益が大きく崩れることなく安定して推移しており、堅実な成長を続けています。
財務面では自己資本比率が高く、借入依存の小さい健全な体質が特徴です。
ここでは、売上高やEPSの推移、営業利益と利益率の動向をはじめ、自己資本比率と有利子負債比率、営業キャッシュフローや現金等の水準、配当金と配当性向までを確認し、同社の収益力・安定性・株主還元への姿勢を整理していきます。
売上高とEPS
旭情報サービスの過去数年間の業績推移を、売上高とEPS(1株あたり利益)のグラフでまとめました。売上は右肩上がりで推移し、EPSも着実に伸びており、安定成長が続いていることがわかります。

売上・EPSともに堅実に伸びており、安定した業績成長がうかがえます。
営業利益と営業利益率
営業利益と営業利益率の推移をまとめました。営業利益率は売上に対してどれだけ本業で利益を確保できているかを示す指標で、企業の収益力を測るうえで重要です。

営業利益は着実に積み上がり、利益率もおおむね安定して推移しており、堅実な収益基盤がうかがえます。さらに、営業利益率は業界平均(SIサービス業平均約9.5%)をやや上回る水準です。
自己資本比率と有利子負債比率
財務体質の健全性を確認するため、「自己資本比率」と「有利子負債比率」の推移をまとめました。
一般的に、自己資本比率が40%以上、有利子負債比率が100%未満であれば、財務体質は健全とされます。(※業種によって差はあります)
【年度】 | 【自己資本比率】 | 【有利子負債比率】 |
---|---|---|
2016/03 | 78.5% | 3.44% |
2017/03 | 78.7% | 3.25% |
2018/03 | 79.0% | 3.07% |
2019/03 | 77.6% | 3.26% |
2020/03 | 77.9% | 3.08% |
2021/03 | 78.2% | 2.88% |
2022/03 | 78.9% | 2.71% |
2023/03 | 78.9% | 2.56% |
2024/03 | 78.7% | 1.91% |
2025/03 | 79.8% | 1.80% |
自己資本比率は70%台後半と高く、有利子負債比率も1〜3%台で推移。借金に依存しない、健全な財務体質が続いています。
営業活動によるCF(キャッシュフロー)
営業活動によるCFとは、会社の本業で得た現金の増減を示す指標です。
売上から経費や仕入れなどを差し引いたあと、実際に手元に残ったお金がどれくらいあるかを表すため、企業の安定性や持続力を判断するうえで重要なポイントになります。

営業CFが安定してプラスで推移している点は、企業の本業収益がしっかり現金を生み出していることを示しており安心感があります。
現金等
現金等とは、企業が保有する現金や、すぐに現金化できる資産(預金・短期保有の有価証券など)を指します。
手元資金が多いほど、急な出費や景気変動にも柔軟に対応でき、財務の安全性を測る重要な指標です。

現金等は増加傾向にあり、直近期も高水準を維持しているため、財務の安全性を裏付けています。
1株当たり配当金と配当性向
配当金と配当性向の推移を表にまとめました。
1株当たり配当金:実際に受け取れる1株ごとの配当額。
配当性向:企業が稼いだ利益のうち、どれくらいを株主への配当に回しているかを示す割合。
配当性向の目安として、30〜50%程度が一般的とされます。
【年度】 | 【1株配当】 | 【配当性向】 |
---|---|---|
2017/03 | 15.5円 | 40.0% |
2018/03 | 16円 | 38.3% |
2019/03 | 18円 | 36.7% |
2020/03 | 19.5円 | 37.5% |
2021/03 | 19.75円 | 36.4% |
2022/03 | 21.5円 | 38.7% |
2023/03 | 21.5円 | 36.6% |
2024/03 | 28円 | 40.6% |
2025/03 | 32円 | 41.8% |
2026/03予 | 32円 | - |
安定的に増配を続けており、安定配当として安心して受け取れる点が魅力です。
なお、本記事の配当金データはIRバンク掲載の調整後ベースを参照しています。そのため会社IRで公表される実際の支払額表記とは一部異なる場合があります。
まとめ

旭情報サービスは、売上や利益が大きく崩れることなく安定して推移しており、財務も自己資本比率の高さや低い負債依存度から非常に健全です。
営業利益率はSIサービス業の平均をやや上回る水準で推移し、営業キャッシュフローや現金等も安定してプラスを維持していることから、本業の収益力と財務の強さがうかがえます。
配当金も着実に増配を続けており、配当性向は40%前後と無理のない範囲で安定。今後も持続的な株主還元が期待できそうです。
派手さはありませんが、堅実な経営基盤と安定配当を備えた企業として、長期投資で安心感を求める投資家にとって注目できる存在です。