なぜお金が貯まらない?行動経済学から見る「貯金できない人」の習慣

投資知識

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「節約しているつもりなのに、なぜかお金が貯まらない」「給料日前になると、いつもお金が足りなくなる」「貯金したいと思っているのに、つい使ってしまう」そんな経験はないでしょうか。

お金を貯めるには、無駄な支出を減らして、収入より支出を少なくすることが基本です。

それでも、頭では分かっているのに思うように貯金できないことがあります。

もしかすると、それは単に「意思が弱いから」ではないかもしれません。

私たちのお金の使い方には、さまざまな心理が関係しています。

たとえば、セールで「今買ったほうがお得」と感じたり、「これくらいならいいか」と少額の出費を気にしなかったりすることがあります。

こうした行動は、行動経済学の考え方から見ると、その理由を理解しやすくなります。

この記事では、お金が貯まらない人にありがちな習慣を取り上げながら、その裏にある心理を行動経済学の視点から解説します。

「なぜ自分は貯金できないんだろう」と悩んでいる人も、自分の行動パターンを知ることで、貯金しやすい仕組みを考えるきっかけになるはずです。

なぜお金が貯まらない?まずは原因を知ろう

お金を貯めようと思ったとき、多くの人が最初に考えるのは節約ではないでしょうか。

外食を減らしたり、コンビニでの買い物を控えたり、欲しいものを我慢したりする方法です。

もちろん、こうした節約も大切です。ただ、それだけでは長続きしないことがあります。

なぜなら、お金の使い方は「分かっていること」と「実際の行動」が必ずしも一致しないからです。

貯金したほうがいいと分かっていても、目の前に欲しいものがあれば買ってしまう。

今月は使いすぎないようにしようと思っていても、これくらいなら大丈夫と考えてしまう。

こうした行動には、人間が持つ心理的なクセが関係しています。

そこで、ここからは「お金が貯まらない人」にありがちな5つの習慣を取り上げ、それぞれを行動経済学の考え方から見ていきます。

余ったら貯金しようと考える

「今月は生活費や必要な支払いを済ませて、余ったお金を貯金しよう」この考え方は、一見すると無理のない貯金方法に思えます。

しかし、余ったら貯金するという方法では、貯金する金額が最初から決まっていません。

そのため、毎月の支出をどこまでに抑えるかも、その時々の判断に任せることになります。

たとえば、給料日に「今月は30万円ある」と思うと、家賃や光熱費などの固定費を除いたお金を、食費や買い物、外食などに使っていきます。

そして給料日前になって、今月はあまり残らなかったなとなり、貯金に回すお金がなくなります。

こうした状態を繰り返していると「余ったら貯金する」つもりでも、なかなか貯金が増えていきません。

ここには、行動経済学でいうデフォルト効果という考え方が関係しています。

デフォルト効果とは

デフォルト効果とは、あらかじめ設定された状態や、何もしなかった場合の選択肢を、そのまま受け入れやすくなる傾向のことです。

余ったら貯金するという方法では、先に貯金する金額を決めていないため、残ったお金はそのまま使うという状態が、事実上のデフォルトになりやすいと考えられます。

つまり、余ったら貯金するのではなく、先に貯金して残ったお金で生活するというように、最初の状態を変えてしまうことがポイントです。

大切なのは、意思の力だけで支出を抑えることではなく、貯金することが自然に実行される仕組みを作ることです。

セールやポイントにつられて買ってしまう

「今なら30%OFFだから買っておこう」「ポイントがたくさん付くから、今買ったほうがお得」そんな理由で、予定していなかったものまで買ってしまうことはないでしょうか。

セールやポイントは、上手に利用すれば支出を抑えることにもつながります。

ただ、安く買える、ポイントがもらえるというお得感に意識が向くと、そもそも必要なものなのかを考えずに購入してしまうことがあります。

たとえば、定価1万円の商品が30%OFFになっていれば、3,000円得したように感じます。

しかし、もともと買う予定がなかった商品なら、実際には7,000円の支出が発生しています。

「3,000円得した」と考えることで、7,000円使ったことが見えにくくなってしまうわけです。

ここには、行動経済学で考えられる誘惑効果が関係しています。

誘惑効果とは

誘惑効果とは、目の前にある魅力的な選択肢によって、当初考えていた選択から行動が変わってしまうことを指します。

お金を貯めたいと思っていても、セールやポイント還元などの魅力的な条件が目の前に現れると、今買わないともったいないという気持ちが強くなります。

その結果、必要だから買うのではなく、お得だから買うという判断になってしまうことがあります。

セールやポイントを利用するときは、割引率や還元率を見る前に、これを定価でも買いたいと思うだろうか?と考えてみるのも一つの方法です。

お得に買うことよりも、必要なものにお金を使うことを意識するだけでも、無駄な支出を減らしやすくなります。

少額の出費を軽く考えてしまう

「500円くらいならいいか」「1,000円くらいなら気にしなくても大丈夫」このように、少額の出費を軽く考えてしまうことはないでしょうか。

1回の支出だけを見ると、それほど大きな金額ではありません。

しかし、コンビニでの買い物やカフェ、ネットショッピングなど、少額の支出が何度も重なると、1か月では意外と大きな金額になります。

たとえば、1回500円の買い物でも、週に3回あれば月に約6,000円です。

500円だからと気にしていなかった支出が、年間では7万円を超えることになります。

少額の出費を「500円くらいなら大したことない」と考えるとき、私たちは無意識のうちに、それを生活費や貯金とは別の、いわば「気にしなくていいお金」として扱ってしまっていることがあります。

こうして支出をいくつもの小さな勘定に分けて考えることで、毎日の支出全体が見えにくくなります。

ここには、行動経済学でいうメンタル・アカウンティングが関係しています。

メンタル・アカウンティングとは

メンタル・アカウンティングとは、人がお金を一つのまとまりとして考えるのではなく、頭の中で用途や出どころごとに分けて捉える傾向のことです。

たとえば「生活費」「貯金」「趣味のお金」などを、それぞれ別のお金のように考えてしまうことがあります。

少額の出費についても「これは別枠のお金だから大丈夫」と考えてしまうことがあります。

その結果、一つひとつは小さな支出でも、気づいたときにはまとまった金額を使っていたということがあります。

大切なのは、一回の金額だけで判断しないことです。

「これは500円だから大丈夫」と考えるのではなく、1週間や1か月単位で支出をまとめて見てみると、自分がどこにお金を使っているのかが分かりやすくなります。

少額の支出をすべて我慢する必要はありません。

まずは、細かな支出も含めて定期的に振り返ることで、思ったより使っていたという支出に気づくことが大切です。

自分へのご褒美が増えてしまう

「今週は仕事を頑張ったから、今日はちょっと贅沢しよう」「最近忙しかったし、自分へのご褒美に買ってしまおう」

このように、自分へのご褒美を理由に、予定していなかった支出をしてしまうことはないでしょうか。

もちろん、頑張った自分へのご褒美は、毎日の生活を楽しむためにも大切です。

問題は、ご褒美が何度も続いてしまうことです。

「今週頑張ったから」「今日は疲れたから」「今月はよく頑張ったから」と理由をつけて、そのたびに外食や買い物などをしていると、気づかないうちに支出が増えていきます。

ここには、行動経済学でいう現在バイアスが関係しています。

現在バイアスとは

現在バイアスとは、将来得られる利益よりも、今すぐ得られる満足や利益を優先しやすい傾向のことです。

たとえば、「今は我慢して貯金する」という選択よりも、「今、おいしいものを食べる」「今、欲しかったものを買う」という目の前の満足を選びやすくなります。

貯金は、将来のためにお金を残す行動です。

一方で、ご褒美による消費は、その場で楽しさや満足感を得ることができます。

そのため、将来のために貯金するという遠いメリットよりも、今の自分を喜ばせるという目の前のメリットが魅力的に感じられ、つい使ってしまうことがあります。

ご褒美そのものをやめる必要はありません。

「頑張ったら使う」とその都度決めるのではなく、あらかじめご褒美に使う金額や回数を決めておくことで、今の楽しみと将来の貯金を両立しやすくなります。

今しか楽しめないかもしれない機会を逃したくない

「期間限定だから、今のうちに買っておこう」「この機会を逃したら、もう楽しめないかもしれない」

そんな気持ちから、予定していなかったものを買ったり、旅行やイベントなどにお金を使ったりすることはないでしょうか。

もちろん、今しかできないことにお金を使うこと自体が悪いわけではありません。

問題なのは、逃したら損をするという気持ちが強くなり、本当に自分にとって必要なものなのかを考える前に、お金を使ってしまうことです。

ここには、行動経済学でいう損失回避という心理が関係しています。

損失回避とは

損失回避とは、同じ大きさの利益を得ることよりも、損失を避けることを強く意識しやすい傾向のことです。

たとえば、今買えば得をすると考えるだけなら、買わないことは単に、得をしないという判断です。

しかし「今買わなければ、二度と手に入らないかもしれない」「この機会を逃したら損をする」と考えると、買わないこと自体を損失のように感じてしまうことがあります。

すると、本来なら見送るはずだった買い物でも、今しかないという気持ちに押されて、購入を選びやすくなります。

これは、「今、楽しみたい」という気持ちが動機になる場合とは少し違います。

ここで動機になっているのは、この機会を逃すことを損だと感じる気持ちです。

また、お得だから買ってしまうという心理とも少し違います。

得をしたいという気持ちが購入を後押しするのに対して、ここでは損をしたくないという気持ちが後押しします。

こうしたときは「買わなかったら本当に損なのか?」と一度立ち止まって考えてみることが大切です。

今しかないという理由だけで決めるのではなく、その機会がなかったとしても、自分はこれにお金を使いたいと思うかを考えてみると、必要な支出なのかを判断しやすくなります。

お金を貯めるためにできる5つの対策

お金が貯まらない原因には、日々のちょっとした行動や判断が関係しています。

では、そうした行動を変えるには、どうすればいいのでしょうか。

ここからは、普段の生活に取り入れやすい5つの対策を紹介します。

貯金するお金を先に分けておく

お金を貯めたいなら、余ったら貯金するのではなく、最初に貯金するお金を分けておくことが基本です。

給料が入ったら、あらかじめ決めた金額を貯金に回し、残ったお金で生活します。

たとえば、毎月3万円を貯金すると決めたなら、給料日に先に3万円を確保しておきます。

銀行の自動積立などを利用すれば、自分で毎月移動させる手間も減らせます。

大切なのは、貯金を余ったお金でするものから、先に確保しておくものに変えることです。

買う前に一度立ち止まる

お金を使うときは、すぐに購入を決めるのではなく、一度立ち止まって考える時間を作ることも大切です。

特に、セールやポイント還元、期間限定など、今買ったほうがいいと感じる場面では、その場の勢いで購入してしまいやすくなります。

そこで「これは本当に必要?」「今じゃなくてもいい?」と、一度考えてみます。

ネットショッピングなら、すぐに購入せずカートに入れたままにするのも一つの方法です。

少し時間を置くことで、欲しいという気持ちが落ち着き、やっぱり必要なかったと気づくこともあります。

すべての買い物を我慢するのではなく、衝動的に買ってしまう前に、考える時間を作ることが、無駄な支出を減らすきっかけになります。

支出をまとめて確認する

家計簿アプリや、銀行口座・キャッシュレス決済の利用履歴を定期的に確認する習慣をつけると、コンビニやカフェなどの数百円の支出も含めて、1か月でどれくらい使っているかが自然と見えるようになります。

細かな支出をすべて減らす必要はありません。

まずは何に、どれくらい使っているのかを把握することから始めてみましょう。

ご褒美用のお金を先に分けておく

ご褒美に使うお金も、あらかじめ生活費とは分けておくと管理しやすくなります。

たとえば、給料が入ったら毎月5,000円を、自由に使っていいお金として別に確保します。

その中でなら好きなことに使い、なくなったら次の月まで追加しない、というルールにします。

こうしておけば、ご褒美を買うたびに「これくらいなら大丈夫かな」と判断する必要がありません。

使っていいお金を先に分けておくことで、楽しみながら支出をコントロールしやすくなります

体験に使うお金も先に確保しておく

旅行やイベントなど、今しか経験できないかもしれないと感じることにお金を使う場合も、あらかじめ予算を作っておくと判断しやすくなります。

たとえば、年間で10万円を旅行やイベントなど、体験に使うお金として確保しておきます。

その範囲内であれば、行きたい旅行や参加したいイベントを楽しむ。

予算を超えそうなときだけ、本当に今お金を使う必要があるのかを考えてみます。

すべての支出を我慢するのではなく「楽しむために使うお金」も先に確保しておくことで、貯金と今の楽しみを両立しやすくなります。

それでもお金が貯まらないときに見直したいこと

ここまで、お金が貯まらない原因と、その対策について見てきました。

それでも思うようにお金が貯まらない場合は、心理や行動だけではなく、家計そのものに無理がないかを確認してみることも大切です。

固定費が大きくなっていないか見直す

節約しているのにお金が貯まらない場合は、毎月の固定費を見直してみましょう。

家賃や住宅ローン、通信費、保険料、サブスクリプションなどは、一度見直すと、その後も継続して支出を減らせる可能性があります。

毎日の買い物を細かく我慢するよりも、毎月必ず出ていくお金を見直すほうが、家計への影響が大きいこともあります。

まずは、現在契約しているサービスや毎月の支払いを一度書き出して「本当に必要なものか」「使っていないものはないか」を確認してみましょう。

収入に対して支出が多くなっていないか確認する

固定費を見直してもお金が貯まらない場合は、収入に対して毎月どれくらい支出しているのかを確認してみましょう。

たとえば、手取り収入が25万円で、毎月24万円を使っているなら、頑張って節約しても貯金に回せる金額には限りがあります。

まずは、家賃や食費、光熱費、通信費、娯楽費など、毎月のおおまかな支出を把握してみましょう。

支出を確認すると「思っていたより食費が多い」「趣味に使うお金が増えている」など、自分では気づきにくかった部分が見えてくることがあります。

無理にすべての支出を減らすのではなく、収入と支出のバランスを把握することから始めてみましょう

貯金の目標が無理な設定になっていないか見直す

「毎月5万円貯金する」「1年で100万円貯める」など、具体的な目標を決めることは大切です。

ただ、収入や生活状況に合わない目標を設定すると、毎月の生活が苦しくなり、途中で挫折してしまうことがあります。

たとえば、毎月の収支にほとんど余裕がないのに、高い貯金額を目標にすると、必要な支出まで削ることになりかねません。

まずは、現在の収入と支出をもとに、無理なく続けられる金額から始めることを考えてみましょう。

少額でも継続して貯金できれば、それは立派な積み重ねです。

突発的な支出に備えておく

毎月の収支に問題がなくても、突然の出費があると、貯金が思うように増えないことがあります。

たとえば、家電の故障や冠婚葬祭、病気やけが、まとまった税金の支払いなど、毎月の生活費とは別にお金が必要になることがあります。

こうした支出まで、今月は使いすぎたと考えてしまうと、貯金が続かなくなりやすくなります。

そこで、毎月の貯金とは別に、急な出費に備えるためのお金を少しずつ確保しておく方法があります。こうしたお金は、一般に生活防衛資金と呼ばれます。

あらかじめ備えておけば、予想外の支出があったときにも、毎月の生活費や貯金に大きな影響が出るのを抑えやすくなります。

支出を減らすだけでなく収入にも目を向ける

ここまでは支出の見直しが中心でしたが、収入にも目を向けることを考えてみましょう。

節約には限界がありますが、収入が増えれば、その分だけ貯金に回せるお金を増やせる可能性があります。

たとえば、仕事での収入を増やす方法を考えたり、今持っているスキルを活かして副収入につなげたりする方法があります。

もちろん、すぐに収入を増やせるとは限りません。

それでも、どうすれば支出を減らせるかだけでなく、どうすれば収入を増やせるかも考えてみることで、お金を貯めるための選択肢は広がります。

まとめ|お金を貯めるには意思より仕組み

お金を貯めたいと思っていても、なかなか思うように貯金できないことがあります。

その原因は、単に意思が弱いからとは限りません。

私たちのお金の使い方には、さまざまな心理が関係しています。

だからこそ、使わないように頑張るだけではなく、先取り貯金や支出の確認など、自然と貯金しやすい仕組みを作ることが大切です。

それでもお金が貯まらないときは、固定費や収入と支出のバランス、貯金の目標など、家計そのものを見直してみましょう。

すべてを一度に変える必要はありません。

まずは、自分のお金の使い方を知り、できるところから少しずつ仕組みを変えていく。

「自分は貯金できない」と責めるのではなく、「どうすれば貯めやすくなるか」を考えること。

それが、お金を貯めるための第一歩になるのではないでしょうか。


お金を貯めることに慣れてきたら、次は「貯金だけでなく資産形成について考える」という視点もあります👇